颱風
笠遣ろか 問ふ地蔵にも 足はなし それより吾子をと 親燕は云ひ
颱風が来るから傘をと 呼びかける 夫(つま)無き軽さで 出勤の朝
ここいらじゃ「蛇抜け(じゃぬけ)」と呼ぶと その人は 土石流の村 振り返り居り
※例によって返歌・追詠
よそんちの
よそんちの 猫の訃報に 息を呑む よそでこれなら 猫でこれなら
歌が繋ぐもの ~返歌について~
6月25日「今朝」と6月28日「葬送」の歌は、ドロさんの歌に対する返歌。
コメントに書かせてもらったのを移稿した。
そもそも、私が短歌を始めたきっかけは、ここに書いたとおり。
「夢のかかと」
http://doconoko.hateblo.jp/entry/2012/10/01/085157
始まりの始まりはそれだが、具体的な詠み始めは、誰かの歌に返歌をつけることだった。
ネットでそんなサークルがあって、そこに投稿したのが最初。
そこでは、歌のしりとりのようなことをやっていて、誰かが詠んだ31文字の、どこか1節をもらっては、歌を繋いでいく。
今回、ドロさんへの返歌も、それと同じことをさせていただいた。
これをやると、歌を詠むのが容易になる。
短歌なんか知らない、できない、やったことがないと言う人は、まず返歌から始めたらいいと思う。
同じ言葉をひとつだけもらって、全体の世界観を引き継ぐのもよし、まったく異なる世界をイメージするのもよし。
そのサークルには3年間参加した。
そのときに、即興で歌を返し合って1時間とかがあっという間に経ち、その時間だけで二人で詠み合った歌が何十首にもなった。
その人が、私に最初のブログを勧めた。
歌だけでなく、私の文章も読んでみたい、と言ったのだ。
そのうち、飲み友達になり、今はなんと、職場の上司である(^_^;)
たかが31の文字。
されど、歌が繋ぐものもあり、もたらすものは想像以上に大きかった。
私には。
だから、私には、歌を見たら、返したくなるクセがついている(^_^;)
これからも、どこかでそういうことがあると思う。
勝手に返してしまうかもしれないが、どうかご容赦あれ<(_ _)>
葬送
蛞蝓の 亡骸運ぶ 雨上がり 黒衣の蟻の 葬送の列
今朝
暮れゆきぬ 異国の芝に 膝をつく 若者たちに 汁杯を挙ぐ
それなのに
それなのに 僕が忘れてしまうのは キミの名でなく 背中にある痣
最近は 恋歌詠まないんだねって キミにフラれたからなのに
捕獲した あなたの言葉がエサになる もすこし 甘さを足しておいてよ
恋よりも 大事なことがあるんだよ 強がりじゃないよ と強がってみる
yesでも noでもなくて どっちでもいい なんていう答えじゃダメかしら
湯
荷をひとつ 降ろそうと決め いつもより すこし 長めの湯に居る