伝えたい言葉なんてない

昔詠んだ歌、今詠む歌

数珠を持つ

【今年の正月開けに詠んだうた】

正月の  めでたさもなく  朝は来て  晴れたる空に  真白き富士見る

かしわ手も  垂れるコウベも   持たずして  不死の高嶺に  撃つ指鉄砲

数珠を持つ 指も冷たい 法要に 遺影の父は 夏姿で笑む

 

【アルジェリア人質事件の際に】

この世には 神も仏も ありませぬ あるのは人と ひとでなしのみ

誰(た)も彼も 母と我が身に重なれり その白髪の 揺れと震えに

何の非も 思い当らぬ 凶みくじ 引かせる神は 鬼か悪魔か

ぶん ぶん と 子を呼ぶ母の 哀しみを テレビで見ていて ごめんなさいね