伝えたい言葉なんてない

昔詠んだ歌、今詠む歌

驟雨

朝練の 驟雨の如き 竹刀(たけ)の音

※出勤途上の体育館から聞こえてくる高校生たちの朝稽古の竹刀の音に、洗われる想いがした。
甘えたい心を打ち据えられたいものか。
ゲリラ雷雨などという表現は身も蓋もないが、突然の激しい雨に気が済むまで濡れていたいというやけくその想いかもしれない。
いや、にわか雨にあわてて家に帰らないでいい、誰も何の義務も待っていないという状況への憧れ。

きっといる神さま

 

ふるさとの 訛りかと思い 振り向いた 画面の中に フランス語聴く

一体の 亡骸の上に 降り積もる 報じきれない かなしみの数

新米を 美味いと思う その朝に 閉ざす命を知らぬ無惨さ

通り過ぐ 社(やしろ)の前で手を合わせ つい口に出た 南無阿弥陀仏

友からの 病気平癒の御守りの 郵便切手にも きっといる神さま

虫の死骸

 

挟まれし虫の死骸があるあたり 「死」の字に怯える推理小説

特別とそうじゃない人 均等に ただのメリクリ 伝える特別 

月と線香花火

 

わたくしが 帰れる月は 満ちもせず 欠けるばかりの 三日月の端

三日月の 端っこに座り ぶらぶらし 脱げたサンダル あなたに当たれ

線香の 火花の球が落ちるのに 気づかないほど あなたを見てる

ジュッという 音と一緒に 我が恋も 消してしまえよ バケツの中で

 

☆ドロさんの歌へのトラックバック返歌

笑わば笑え

 

憎しみを こねて丸めた 泥団子 呑み込み過ぎて お腹いっぱい

それだけで 剣にもなれば 罪も産む 脳天気という おそろしきもの

目を瞑り 耳を塞ぎて生きてゆく 視野の狭さを 笑わば笑え

折々の 花の清しは誰も詠む 吾は胸張り 吾の毒詠む

三十一(みそひと)の文字は 鎮痛剤なりて 痛み無き人の要はわからぬ