伝えたい言葉なんてない

昔詠んだ歌、今詠む歌

2014-01-01から1年間の記事一覧

虫の死骸

挟まれし虫の死骸があるあたり 「死」の字に怯える推理小説 特別とそうじゃない人 均等に ただのメリクリ 伝える特別

月と線香花火

わたくしが 帰れる月は 満ちもせず 欠けるばかりの 三日月の端 三日月の 端っこに座り ぶらぶらし 脱げたサンダル あなたに当たれ 線香の 火花の球が落ちるのに 気づかないほど あなたを見てる ジュッという 音と一緒に 我が恋も 消してしまえよ バケツの中で…

笑わば笑え

憎しみを こねて丸めた 泥団子 呑み込み過ぎて お腹いっぱい それだけで 剣にもなれば 罪も産む 脳天気という おそろしきもの 目を瞑り 耳を塞ぎて生きてゆく 視野の狭さを 笑わば笑え 折々の 花の清しは誰も詠む 吾は胸張り 吾の毒詠む 三十一(みそひと)…

颱風

笠遣ろか 問ふ地蔵にも 足はなし それより吾子をと 親燕は云ひ 颱風が来るから傘をと 呼びかける 夫(つま)無き軽さで 出勤の朝 ここいらじゃ「蛇抜け(じゃぬけ)」と呼ぶと その人は 土石流の村 振り返り居り ※例によって返歌・追詠

伯剌西爾

伯剌西爾 和蘭陀という文字を 切り貼りし 私ひとりの 地球儀回す 胸の中 小人くらいの英雄を 宿して 敗者 ピッチを去りぬ むさくるし 大の男が ムキになり 球追う姿に わたし何故泣く ※ドロさんとこへの返歌と追詠み

人生の95%は負け

勝ってから 言ってみたいのは 「人生の95%は負け」 片方は 「毒だみ」と呼ばれ 一方は「半夏生」と呼ぶ 人の残酷 髪を切ろうと 思ったときから すこしずつ 私の中の あなたを斬ってる

よそんちの

よそんちの 猫の訃報に 息を呑む よそでこれなら 猫でこれなら

歌が繋ぐもの ~返歌について~

6月25日「今朝」と6月28日「葬送」の歌は、ドロさんの歌に対する返歌。 コメントに書かせてもらったのを移稿した。 そもそも、私が短歌を始めたきっかけは、ここに書いたとおり。 「夢のかかと」 http://doconoko.hateblo.jp/entry/2012/10/01/085157 始まり…

葬送

蛞蝓の 亡骸運ぶ 雨上がり 黒衣の蟻の 葬送の列

今朝

暮れゆきぬ 異国の芝に 膝をつく 若者たちに 汁杯を挙ぐ

それなのに

それなのに 僕が忘れてしまうのは キミの名でなく 背中にある痣 最近は 恋歌詠まないんだねって キミにフラれたからなのに 捕獲した あなたの言葉がエサになる もすこし 甘さを足しておいてよ 恋よりも 大事なことがあるんだよ 強がりじゃないよ と強がって…

今日は泣いてもいい日

「閖上」を「ゆりあげ」と読むと知ったあの日の哀しみ 「もう」とも言えず「まだ」とも言えぬ3年という時の重石 住所録に残る釜石のあなたの名をわたしはまだ削除できないんだよ